飛行機の席は、後から追加した1名分だけが別の席になってしまったようだ。本来なら、後から来た菜穂が別の席なんだろうけど、
「わたしたちは、よく知り合うべきだと思うの」
と、当然のように小浜と優斗を交互に見つめて微笑む菜穂に負け、私だけが別の席になってしまった。

「僕が代わりますよ」
 小浜が気を利かせて言ってくれたが、ありがたく辞退することにした。

 千歳空港までは2時間もかからないくらいと聞いているし、何よりも寝不足の後の旅行ということで今のうち寝ていたかったからだ。

 搭乗が開始する前から乗客は長蛇の列を作っている。

「席決まってるんだからゆっくり乗ればいいのに。ほんと、日本人ってせっかちだよな」
優斗があきれ顔で言う。

「あれは荷物を早く上の棚に置きたいんじゃないですかね。実際、遅く乗ったときに手荷物が上に入りきらなかったことありますから」
小浜が説明するが、優斗は聞いているのかいないのか席に座ってあくびをしている。