「そうだよ~。きっと、そういう優斗くんに恋してる女の子もいると思うよ」

 優斗は肩をすくめて、首をかしげている。

 もしも菜穂のことを言ったらどうなるのだろう、と思ったがもちろん言えるはずもなく、私も同じように首をかしげるだけだった。

 
 駅前のロータリーは、冬休みに入ったこともありいつもより若い人であふれていた。

「じゃあ、気をつけて」
と言う恵美と、
「行ってらっしゃい」
と頭を下げる鈴木に見送られ、駅の構内へ足を進めた。


「なんかさ、とんでもない展開になってきたな」
スポーツバッグを肩に背負い、先を歩く優斗が言った。

「うん、まだ実感ないよ。これから北海道に行くなんて」

 正直な気持ちだった。

 この数日のあわただしさと、昨夜の出来事、そして寝不足で思考回路が現実世界についてきていない感じがしている。