「優斗くんは、学校で好きな人とかいないの?」
恵美が振り返って尋ねる。

「あ、いえ・・・いません」

「へぇ、そうなんだ。その年頃ってみんな恋してるもんだと思ってた」

「はぁ、でも女子はそういう話で盛り上がってるみたいですけど」
チラリと優斗が私を見て言う。

「なによ、私がそうだって言いたいの?」

「いや、別に」

 恵美の前ではさすがに優斗もいつもの勢いがなく、視線を窓の外に向けた。

「優斗くんってどんなタイプが好きなの?」
もう恵美は、身体を後ろに完全に向けるような格好でしつこく尋ねている。

「いえ、別にそういうのないです。今は部活が楽しいだけですから」

「今時めずらしく硬派なかんじだね」

「そうなんすかね・・・?」