「私、分からない。カナが優ちゃんを本当に好きならそれでもいいと思う。私も優ちゃんのこと好きだけど、カナのことも好き。だったら私は何もしないし、今のまま3人と友だちでもいいの。でも、ウソはイヤ」

「いや、ウソついてないし」

「私はカナみたいに優ちゃんとバカな話もできない。いつも一歩離れたところで見つめているだけ。それでもいい、それでもいいの」

 ダメだ。完全に私の言うことなんて耳に入っていないみたい。恋をしている人は、こうも周りが見えなくなるものか。恋は盲目とはよく言ったものだ。

「はい、そこまで!」
右手を上げて、大きな声で宣言。思ったよりも周りに響いて、言った本人が驚いてしまった。

 菜穂の両肩を手でつかみ、私は一言一言をゆっくりと聞かせるように言う。

「私は、優斗に恋なんてしてません。菜穂は私の親友じゃなかった?親友の言うことを疑うの?」

「・・・疑わない」

 剣幕に押されたのだろう、オドオドと菜穂は口にした。