そう、あの日菜穂は机に座らずに外を見ていた。あれは来ない優斗を心配していたのだ。

「あの翌日も優ちゃんは練習には出てなかった。そしてカナとケンカしたでしょう?アレ以来、優ちゃんとカナ、なんかおかしいもん」

「あぁ・・・」

 すべてが分かった。菜穂の様子が今朝から違ったのは、他でもない私のせいだったんだ!
 確かに優斗と土曜日に会って以来、私たちは以前よりも距離が近い。教室でコソコソ旅行について話す機会も増えている。それを菜穂は勘違いしているんだ。

「カナはさ、こないだまで井上先生ひとすじだったじゃん。それなのに、井上先生が結婚したからってすぐに優ちゃんを好きになれるの?それがカナの恋のやり方なの?」

「あのさ、菜穂。それって大きな勘違いだよ。私が優斗と?ありえないし、それ」

 笑ってみせたが、うまく笑えたかどうか。どうしてみんなこうも勘違いして突っ走れるのだろうか?そんなに私の行動がみんなを混乱させちゃってるのだろうか。