「秘密ってほどではないんですケド・・・」

「じゃあ、話したってかまわないでしょ」

「はぁ、そうですね・・・。あの恋愛って何ですか?私、いつも誰かを好きになったり、あこがれちゃったりするんですけど、それって恋って呼んでいいんですか?結局は、さっき先生が言ったように誰かと一緒にいる時間が長くなれば、自然に興味ってわくじゃないですか。もっと知りたいって思うじゃないですか。そういうのを恋って呼んでいいんですか?」

 言いながら自分でも何を言いたいのかわからなくなっていたが、口から出たものは取り返しがつかない。これじゃ、岩崎と井上の結婚に非をとなえているように思われちゃうかも。

 幸い岩崎はそうは取らなかったようで、口元に人差し指をあててなにやら考え込んでいる。良い答えを探してくれているのだろうか。

「山本さんって、きっと自己防衛本能が強いんじゃないかな」

 岩崎がさっきよりも低いトーンで言った。