「結婚できるって思わなかったってことですか?」
「そう、これは女同士の内緒の話ね。昔、すっごい大失恋したことがあって、そのときに『もう絶対誰も好きにならない』って決めたの。というより『好きになれない』のほうが近いかな・・・」
「井上先生は違ったんですね?」
「そう、はじめは意識してなかったの。でも一緒にいる時間が長くなって、だんだん興味がわいてきて、そして気づいたら好きになってた。これって私にとっては奇跡みたいなことなの」
岩崎は、そこでふと現実に戻ったようで、
「私なに言ってるんだろう。ごめん、忘れてね」
と慌てた様子で楽譜をふたたび操りだした。
「あ、先生。もう少しだけ聞かせてください。最近ずっとモヤモヤ気になってることがあって」
「それって、気になってることじゃなくて気になってる人っていう意味じゃないの?」
これが大人の女性ということか。突然のかえしに口ごもると、岩崎は「ふふ」と微笑んで、
「いいじゃない、これでおあいこ。山本さんの秘密も教えてよ」
と優しく言った。
「そう、これは女同士の内緒の話ね。昔、すっごい大失恋したことがあって、そのときに『もう絶対誰も好きにならない』って決めたの。というより『好きになれない』のほうが近いかな・・・」
「井上先生は違ったんですね?」
「そう、はじめは意識してなかったの。でも一緒にいる時間が長くなって、だんだん興味がわいてきて、そして気づいたら好きになってた。これって私にとっては奇跡みたいなことなの」
岩崎は、そこでふと現実に戻ったようで、
「私なに言ってるんだろう。ごめん、忘れてね」
と慌てた様子で楽譜をふたたび操りだした。
「あ、先生。もう少しだけ聞かせてください。最近ずっとモヤモヤ気になってることがあって」
「それって、気になってることじゃなくて気になってる人っていう意味じゃないの?」
これが大人の女性ということか。突然のかえしに口ごもると、岩崎は「ふふ」と微笑んで、
「いいじゃない、これでおあいこ。山本さんの秘密も教えてよ」
と優しく言った。