果たして優斗は、腕を組み、
「うーん。たしかに小浜さんの言うとおり、もしかしたらアネキは誰かに必要とされたいのかもしれないな・・・」
と、さっきまでとは真逆のことを言い出した。

「えっ!?だって、さっきまでは・・・」

「カナ、人間には臨機応変さが必要だぜ、な、小浜さん」

「うん、そうだよ。それにこのまま涼子をほうっておくっていうのは冷たいんじゃない?」

 なんで私が悪者に!だいたい私ははじめから涼子をほうっておけないって言ってたのに!

「でもさ、どこへ行ったかは分からないわけだよね?」
小浜が、私の怒りなど知らないで優斗に声をかける。

「んー。分かんないなぁ。もしかしたらアネキの部屋に行けば何か手がかりがあるかも」

「部屋?涼子の部屋に?」
突然の提案に小浜が真っ赤になる。わかりやすい。

 優斗は残りのドーナツを口に放り込むと、
「そうと決まったら、早速行こうぜ」
と、もう立ち上がりかけてる。

 なんだかとんでもないことになってきたが、すべては涼子を探すためだ、と観念して私はドーナツを大きくほおばった。