しかし腕を組んで考えた後、優斗が、
「たしか・・・コハマとかオオハマとか言ってたような」
と言ってくれたため、私は心のなかで大きくため息をついた。

「小浜さんで合ってるよ。でも付き合ってるんじゃないみたいだけどね」

「そうなのか。よく名前が出てくるから恋人だと思ってた」

　その言葉で私は今日一番の安心感を得ることになる。

　家族でも知らないことがあるんだから、私がいろんなことを知らないのは当然だ、と。


「その小浜さんなんだけどね、実は涼子さんのことすっごく心配してるんだよ」

「え？お前知り合いなのか？」

「うん。ちょっとだけね」

「そっか」
　優斗はつぶやいてまた何かしら考え込んでいたが、
「なぁ、俺から説明するから会わせてほしいな」
と言い出してしまった。