何て答えてよいのか分からずに、軽くうなずきながら缶に口をつけた。少しぬるくなってしまったコーヒーが甘くてあたたまる。

「アネキがいなくなったのに、俺たち家族は何にもしてないんだよ。正直どうしたら良いのか分からないってのもあるけど、原因だけは分かっているから。だからこそ、動けないんだよな」

「・・・昨日も言ってたね、それ。原因が分かっているってどういうことなの?」

 チラッとこちらを見た優斗と目が一瞬合う。それは、なんて悲しい目だろう。聞いてはいけないことを聞いてしまったような気がして、私は視線を下に落とした。
 優斗はしばらく黙っていたが、やがて意を決したように息を1回すってから話し出した。

「俺んちさ、変わってるんだよ。親父がさ・・・」

「うん、知ってる。亡くなったんだよね」
思わず口をはさんでしまった。すると、優斗は目を大きく見開いて私を見たかと思うと、次の瞬間にはクスクス笑い出していた。

「え?何?」