「いっ、いひゃい…」
情けない声を上げて、頭をさすった。
クマが下敷きになったおかげで、さほどの衝撃はなかったけれど。
…痛い。
ココロが、痛い。
「っていうか…びっくりだよ。相手どんな人なんだろ…」
何の悪びれもなく、香奈は転がり落ちた私の代わりにベッドに腰掛けた。
おまけにぬいぐるみまで取り上げて、可愛いクマの顔をむぎゅむぎゅと弄び始める。
…こら。
「香奈、返してよっ」
「びっくりだなぁ」
「何がよ。…碧だって、あの容姿なら彼女ぐらい出来るわよ」
目を逸らして素っ気なくそう言うと、香奈は「そうじゃなくて」とクマを私に返しながら、続けた。
「碧兄ちゃんは、お姉ちゃんと結婚するんだろうなと思ってたから」