言いながら、テストの模範解答を作成している気分になっていた。


どんどん完璧な答えになっていく。

あと何回、この台詞を繰り返すんだろう。




私の模範解答を聞いた麻美さんは、少しこっちを見た。

そして微笑んだ。


なんだか昔の碧に似た、優しい笑い方だった。



「そっか。…何年も仲いいなんて、羨ましいな。私の周りにはそういう人っていなかったから」

「そう…ですか?」

「…碧ね」



あおい。

彼女の声は、確かに少し私に似ている。



その、さりげない名前の呼び方も。

私もその名前を呼ぶ時にはこんな表情をしてるのかな、なんて思った。





「碧ね、寝てる時とか私が起こそうと思って"碧"って呼んだら…時々こう言うんだよ。



…うん…?夏海…?」




麻美さんはおどけたように、碧の真似をしてみせた。

でもその目は、笑ってはいなかった。