なんとなく緊張する。

心臓の音が聞こえやしないかと心配になる。



そして麻美さんの言葉に、心臓が宇宙の果てまで飛び跳ねた。



「…夏海ちゃんと碧って、付き合ってたの?」

「……!」



いきなり単刀を直入されて、私はぐっと白目を剥きそうになった。

辺りが暗かったのが、幸いだった。




…落ち着け。

とにかく、落ち着かなきゃ。



慎重に言葉を選ぶ必要もない。
真実を話せばいいんだから。


私はすぅ、と息を吸って呼吸を整えてから、口を開いた。




「付き合ってないし…碧をそういう対象として考えたこともないです。…碧は私にとって1つ上の優しいお兄ちゃんで、8年経った今でもそうなんです」