私は掴まれた腕を擦りながら、咄嗟に碧の背中を追い掛けた。 背伸びをして、肩を掴んで振り向かせる。 あの頃みたいに。 「…この……大バカ碧っ!!」 右手で、頬を打った。 パシッと乾いた音がした。 「…ってぇ……」 「そんなくだらない理由で結婚なんかするんじゃない!」 私は叫んだ。 なんかどうしようもなく、泣きそうだった。 こんなんじゃないでしょ。 私が好きになったお兄ちゃんは、こんなんじゃない。 「自己満で結婚すんな!相手の気持ち、考えたことあるの!?」