碧は小さく笑った。
碧らしくない、自嘲的な笑みだった。
「気付いてたのに、ずっと気付いてないふりをしてた。多分夏海は、自分のことを好いてくれる存在が好きだったんだよな。
…普通に考えてさ。そんなの、ずっと好きでいられる訳ないだろ」
――ずっと好きでいられる訳ないだろ。
碧の言葉はあまりに残酷に、私の胸に現実を突き付けた。
「…ざまみろ」
パッと腕が離された。
解放されても、私は動けなかった。
碧が私に背を向ける。
「…傷つけ。一度ぐらい、俺のことで傷つけばいい」
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