2つ並んだ影が、長く伸びている。
少し歩いたところで、住宅街の中でもひときわ大きめの家があらわれた。
「桂川」の表札が掛かっているから間違いない。
「「なつかしー…」」
声がハモった。
ベージュ色で、柔らかい雰囲気の家。
インターホンを押す手が少し震える。
ピンポーン
はいはい、という声がした。
待ち構えていたみたいに、早く。
ガチャッとドアが開いて、ワンピースを身につけた沙知絵さんが飛び出してきた。
相変わらずハイテンション。
いくつになっても若々しく、乙女趣味。
「夏海ちゃん、香奈ちゃん!すっかりお姉さんになっちゃってー♪」
高く、甘い声。
ハーフゆえのフランス人形みたいな顔立ちは、いつまでも綺麗だから許されるけど。