香奈はお茶のコップを持ち上げながら、にこっと頷いた。
「そっ、雄大(ゆうた)くん。元気?」
「あー元気元気。俺ら藤島学園だったじゃん?雄大はあのまま高等部に進んで陸上やってるよ。スポーツだけは得意だからな、アイツ」
藤島学園。
懐かしい学校名に、私は小さく笑みを零した。
そういえばスポーツが強い学校だった。
私はスポーツはからっきしダメだったけど。
「凄いじゃん。陸上なんて格好いい」
「まあ、いいんだけどさ。…でももう高3だぜ?受験に集中しないと。って」
一度喋り始めると、延々と喋り続けるところも変わっていない。
お店には私達以外のお客さんはいなかったから、祐樹はカウンターに腰を下ろした。
「そういや香奈ちゃんは、受験は?」
「あたし、付属高校だもん。このままちゃんと内申を守れば、付属の大学に行けるの」