「それってつまりさ、今までずっと忘れなくて、会えない時間が想いを強くしていったってことでしょ。素敵なことだよ」 香奈の言葉はふんわりと優しく、今の私にちょうどいい温度だった。 ――もう妹には、何もかも分かっているんだ。 なんだか無性に、そう思った。 「…会ってきなよ」 香奈はお茶を一口含んで、目を伏せた。 「会ったらきっと、嬉しいよ。…碧兄ちゃんも、お姉ちゃんも」 そうだね。 そう頷こうとした時、だった。 「…もしかして、なっちゃん?」 陽気な声が後ろから掛かった。