「…なんか、ごめんね」 ぽつりと呟くように放たれた言葉に、顔を上げた。 さっきまではしゃいでいた表情が少し沈んでいる。 スプーンを手に持ったまま香奈は「お姉ちゃんが泣くなんて思わなかった」と言った。 「ちょっとね。泣けてきちゃった。…碧とはずっと一緒にいたから」 小さく笑って、最後の方に力を込めて言った。 …自分自身にも言い聞かせるように。 「でも、ここを離れる時はあんなに泣かなかったでしょ」 それって、つまりさ。 香奈はストレートな言葉を続けた。