ここから碧の家までの道程は、もう簡単に分かる。 この場所は、方向音痴な私のための目印みたいなもんだった。 「前にね、言ってたんだよ。それを思い出した」 ――ここは海の絶景スポットだからさ、知ってる人は知ってる。 夏海も迷子にならないだろ? 誰が?とは、香奈は聞いてこなかった。 代わりに、頬杖をつく私をちらりと見て「ねぇ」と言った。