やがて、見覚えのある美しい場所が姿を現した。
「わぁ…」
香奈が目を輝かせて、私と同じように反対側の窓に手をつく。
「この辺りでよろしいですかね」
「はい」
きらきらと輝く、青い海。
堤防にはちらほらと人が腰掛けている。
料金を支払う私をさておいて、香奈はタクシーを降りると海に向かって走りだした。
「すっごい綺麗!」
私も後に続くと、堤防によじのぼった香奈の隣に手をついた。
「お母さんが私の名前を付けたのは、ここにちなんで。っていうぐらいだから」
夏の海。
波は打ち寄せるたびに、きらめきを残す。