華やかな場が得意そうな祐樹には意外な話だと一瞬思ったけれど。


真に受けるのはやめた。

彼は誰かのためなら、簡単に小さな嘘をつけるから。



「…ありがとう」

「え?」

「あ、やっぱりなんでもない」

「そういやさ、」



何かを思い出したように、祐樹がパンと手を打った。

そして自分の鞄を開けると、何やら中を探り出す。
しばらく探ってから「…あ!あったあった」と顔を上げた。


その手には、小さなカードみたいなものが乗っていた。



「…何それ?」

「これさ、小学校ん時の英語の授業で」

「しょ、小学校で英語なんかあったっけ!?」