私は静かに頷いた。

涙で濡れた顔を上げると、あまりに優しい表情をした祐樹と目が合って。
…なんだか少し恥ずかしかった。



「うん……ごめんね」

「…いや。なっちゃんの本音が聞けて良かった。喫茶店で再会した時から、ずっと無理してるような気がしてから」


驚いて目を丸くした私に、祐樹は軽くウィンクした。

私や碧が何かやらかした時に祐樹がする癖で、
すかさず碧がツッコミを入れてた、あのウィンクだった。



「本音が分からないうちは、人って前には進めないから」

「うん」

「でもなっちゃんはもう大丈夫」

「うん。ありがとう」