結婚したら、もっともっと遠くに行ってしまうのかもしれない。
あの頃中学生だった私のことなんて、あっという間に忘れてしまうかもしれない。
「…それだけ?」
ビクッ、と体が跳ねた。
慌てて横を向くと、私の肩に寄り掛かったままの香奈がじっと上目遣いでこっちを見ていた。
「…本当に、それだけなの?」
香奈の目が少しだけキツい。
可愛い口を尖らせて、そんなことを言う。
「…何がよ」
あえて冷静な表情でそう返すと、香奈は「べぇっつにー」とそっぽを向いた。
だから私も、聞き返さないことにした。
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