そう頷く私に、祐樹は続けて「じゃあ碧の名前は?」と聞いた。


私は一瞬きょとんとしたけれど、すぐに「ああ」と手を打った。

…そういうことね。




「碧の目って、碧いでしょ。だからだよ」

「あれ。この海の色が碧いからだと思ってた」

「…確かに、それもあるかもしれないね」



私は頬杖をつきながら、そっと目を閉じた。



あおい。


この名前を口にするたびに、思い出すことがちょっと多すぎる。




碧。


困ったことに…私が好きだった場所は全部、全部君で溢れ返っている。