――――Natsumi SIDE――



「この辺で、いい?」

「うん!ありがとう」



海が綺麗に見えて、小さな堤防がある場所。

昼間の海は少し眩しすぎてキラキラと目に痛いぐらい。



先に車から降りた私に続いて、祐樹も堤防に肘をついた。



「やっぱ綺麗だな。…日本で綺麗な海って、あんま残ってないもんな」


しみじみとそう呟く。

私も頷いて、「…この海だけは変わらないもんね」と言った。




潮の匂い。

打ち寄せては返す波の音。


少しだけべたつく風が
体をそっと包み込んだ。