その体に触れる瞬間、碧と過ごした長い時間を思った。 「行ってらっしゃい」 「…夏海は?」 「私は、ここから先には行けない」 今度こそ、帰るつもりだった。 何か余計なものに流されないうちに 帰らなくちゃいけない、と思ったから。 「その格好で帰るのか」 「こっ、これは強制的に…」 フリフリに軽く触りながら面白そうに言われて、私は頬を膨らませた。 この格好で電車に乗るなんてもちろん断固拒否。 「着替え持ってきてるし、祐樹に車出してもらう」 「…そっか」