式場に入ったとたんに飛び込んでくる、華やかな光景。

花で縁取られた「結婚式会場」の立て看板から、私は目を逸らしてしまった。


胸がちくんとする。



「ご来席ありがとうございます」

受付を済ませた時にちょうど、車を停めた祐樹がやってきた。



「いやぁ、緊張するよな。こういうとこって」

「本当だよね」


全然緊張した様子のない祐樹と香奈が、そんな会話を交わすのを見ていた。

お母さんが私の肩を突いて言う。




「碧くんのタキシード姿、楽しみよね」

「…やめて。その目」


やれやれ、とため息をついた。