私の色は何色だっただろう。
そんなことをぼんやり考えた時、車が止まった。
「えっと…ここだったっけ?」
やたら長ったらしい名前の、綺麗なホテル。
祐樹はホテルに刻まれているその名前と、メモを照らし合わせてから「うん。オッケー」と言った。
正直、ここから先は行きたくなかった。
でもそんな我が儘を言えないことも分かっていた。
私はお母さんを起こすと、花束などの入った紙袋を持って車から降りた。
香奈はキラキラした目でホテルを見つめている。
「すごい綺麗なとこだね!」
「うん」
車を停めてくるから先行っといて、という祐樹にお礼を言ってから、私達はホテルの中に入った。