あまりに短い時間だったからか、やり忘れたことが多いような気がしてならない。
それでも私が碧に言いたいことは、全部言った。
全部、全部伝えた。
「…お姉ちゃん、帰りは電車で帰るよね?」
「もちろん。夜行バスは体が痛かったし」
笑ってそう頷いてから、私はなんとなくバッグから手紙を取り出した。
綺麗な薄桃色の、レースで縁取られた封筒。
結婚式の招待状。
そしてふと、薄桃色は麻美さんの色だと思った。
カーディガンの色もそうだったし、何よりイメージに合っている。
これから碧は麻美さんの色に染まっていって、麻美さんは今以上に碧の色に染まっていくんだと思った。