祐樹の出してくれた車に三人で乗り込み、バタンとドアが閉まる。



私は最後にもう一度、桂川家を見上げた。


私の第二の家だった。

幼稚園の頃から中学までずっと、ずっと入り浸ってた。



今だってともすれば、あの頃の私の後ろ姿がこのドアの前に思い描ける。

誰かさんの部屋を目指して
待ちきれないようにドアが開くのを待っている。



――だけどもう、
それは開くことはない。





鍵を掛けたのは碧じゃない。

あの日の私にとっては未来であり、
今ここにいる、私自身だった。