「…でも」 私は付け加えた。 これだけはどうしても言っておきたかった。 「これが8年前と同じ意味なのか、違う意味なのか…それは言えない」 「…なんで?」 「なんでも」 「言えよ!」 碧は私に近づいてきた。 そして腕をぎゅっと掴む。 泣きたくなるぐらいに切ない表情だった。 「……っとに、ズルい女だよ」 「……うん…」 「そうやっていつも、いつまで経っても、俺の感情をぐしゃぐしゃに出来るのは…夏海だけだ」 「うん…分かってるよ……」 私はぎゅっと目を閉じた。 涙が頬を伝った。