そんな風にしてどれぐらい、時間が経っただろう。
私は思い出したように碧の背中に体を預けた。
ワンピース越しに伝わる温もりに安心したかった。
「…ねー碧」
あおい。
あと何回、この名前を呼べるだろう。
――きっと君は、ほんのひとかけらさえも想像したことがないのだろう。
このまま時間を止めて、私が君を何処かへと連れ去ってしまいたいと思っているなんて。
「…何」
「私、やっぱり明日の式には行かないね」
碧が振り向こうとした気配を感じて、私は背中で押さえ付けた。
振り向かないで。
振り向かないで欲しい。