そういえば家を出たのは一昨日だけど、着いたのはつい昨日なんだと思い出した。
…なんだか随分長く、時間を共有していたような気がしたから。
「変な気を遣うなよ、夏海のくせに」
「…きゃっ」
屈み込んだ私の頭に、碧が何かを乗っける。
びっくりして振り払ったその何かは、小さくて可愛い貝殻だった。
「あ…可愛い」
ほんのりとした桜色の、綺麗な貝殻。
私は足元の砂を寄せ集めた。
「私も探すっ」
「出た。真似しっこ」
「私がやろうと思うことを、碧がいつも先にやるだけ!」
ザザーン……と波の音がする。
その音を聞きながら私は貝殻探し、その横に座り込んだ碧は何やら別のことをし始めた。