ザッ、ザッ…という独特の足音と共に。
私は碧のもとに着いた。
「…すぐ夕方になるけど。腹減ってない?」
碧の言葉に首を振ってから、聞いた。
そういえば時間の感覚がない。
「今…何時?」
「もう3時になる」
「え……」
「誰かさんが起きるの遅かったのと、誰かさん達に絡まれたせい」
碧は小さく笑った。
柔らかい風が、碧の綺麗な髪をふわっと撫でた。
「あ…碧は大丈夫なの…?」
「ん?」
「その…明日は大事な日なのに、前日にこんなとこにいて」
私は彼から目を逸らして、波打ち際の方へと向かった。
潮の匂いがした。
来た時にも嗅いだ、あの匂い。