目を開けると、横には碧はいなかった。

バッとシートから体を起こして、シートベルトを外す。



「碧!?」


不安に駆られて、名前を呼んだ。

だけどドアを開けて車から飛び降りると…広がる砂浜に目を奪われた。




そしてそこに立つ碧の後ろ姿に、ほっと息を漏らした。


「…あ、碧!」



後ろから声を掛けると、碧がこっちを振り向いた。



「…起きた?」

「うん」

「おいで」



涼しい風が体を吹き抜ける。

もう8月末だからか、砂浜にはほとんど人がいなかった。



サンダル履いてきて良かった、なんて思いながらコンクリートの階段を降りた。

すぐに砂浜に辿り着く。