ぼそっ、とそう呟いていた。
自分でも言ったのか言ってないのか分からないぐらいに、自然に。




碧は「ああ」と短く答えた。

しばらく間を置いてから、付け加えるように言う。



「俺も海に連れてく予定だった。…つか、海しかないもんな」

「どこまで走るの?」

「砂浜が綺麗な方まで。何気にかかるんだよな」



そっか、と納得した私はシートに身を預けた。

なんだか眠たくなってきて、目を閉じる。




「…寝ていい?」

「いいよ。すぐ着くから」



優しい碧の、声がした。