私の心情と、碧の呟きがシンクロして思わず笑った。 「…うん。疲れたね」 「なんか俺らの周りって、全員騒がしいよな。昔っから」 「うん」 私はその言葉に頷いた。 曲が「チェリー」から「楓」に変わっていた。 何気に私が一番好きだった曲だ。 そしてすごく、切ない曲。 …なんだか黙り込んでしまった。 車はそのまま走り続けている。 「…」 碧が何も言わないから、敢えて言葉を紡ぐ必要はないのだと思った。 自然体。 自然体でいい。 私は窓の外に見える海に、目を細めた。 「……やっぱり海に行きたい」