言葉が詰まって、胸が詰まった。
その優しい笑顔は、何年間も私達を見てきたからこそのものだった。
「そうだよ。…碧兄ちゃんと、楽しんできて。言いたいこと全部、言ってきなよ」
香奈が囁くように言った。
なんだかココロがじんわりと温まった。
二人の優しさが、身に染みた。
「…ありがと」
「夏海!!」
…何よ。
零れかけた涙を即座に引っ込めると、私はようやく碧から離れたお母さんに顔を向けた。
お母さんは何やら張り切った様子で、紙袋を振っている。
「明日のドレス、ばっちり持ってきたからね」
「…ドレス?」