よく晴れていて、いい天気だった。
窓から見える青空がどこまでも澄み渡っている。
心地よい速さで車が走る。
碧をとりまくもの、すべての速度が私にとってはいつもちょうどいい。
「…好きな曲選んでいいよ」
碧が運転しながら、ちょいちょいと専属のオーディオを指差した。
言われるがままに操作してみると、知らない曲に混じっていくつかの懐かしい曲名が現れる。
スピッツの「チェリー」が入っていることに気付いた時、私は思わず声を上げた。
「懐かしい!」
つられて、碧が笑った。
「すげーハマってたよな。二人して」
「うん。大好き」
再生ボタンを押すと、
前奏だけで懐かしさに体が震えた。
…こういうの、最近は全然聞いてなかった気がする。