「…っとに、変わんないな」
「何がおかしいのよ…」
小さく笑いながら運転席に乗り込んだ碧に、私は頬を膨らませた。
ミラーやらなんやらを確認し終えると、碧はくるっと私を振り向いた。
…近い。
息が掛かりそうな程に、顔を近付ける。
「…!」
「…普通は、助手席に座んの」
「じょ、助手席…」
「特に恋人同士ならな。…彼氏がこういうことしやすいだろ」
「な…っ!」
ふるふると顔を振って、私はシートに思いっきり倒れこんだ。
…逃げやすいという面では、やっぱりこっちが正解のような気がする。
「そりゃ…デートでは助手席に座るってば。でも碧とのコレは、あくまでお出かけであって…」
「…デートって言ったのに」