「本気で」


いつだって私は、本気だった。



一向に手を止める気配のない私を見て、香奈も自分の部屋へと戻っていった。


最悪、香奈が付いて来なくても一人で行こうと思っていた。




何を、どうこうしようって訳じゃない。
どうにもならないって分かってる。


だけどなんともいえない衝動に駆られていた。




「おかーさん!私、先に行くから!」

「…ええ!?」

「色々寄りたい所あるし、一人で先に行くから。じゃあ、後でね」



何の計画性もないところは、私もお母さんに似ているかもしれない。
血は争えないものだ。



「一人で、って!」


目を丸くするお母さんに構わず、私は玄関に一度荷物を下ろすと靴を履いた。

その時、




「待った待った。あたしも行くから」


私と色違いのボストンバックを持った香奈も、二階から降りてきた。



「ちょっと!香奈まで先行っちゃったらお母さん寂しいじゃないっ」