昨夜のことは、夢だったのかもしれない。 ぼんやりとしか覚えていない、というよりほとんど記憶が曖昧だし。 …夢だったんだと、思い込むことにした。 「…!」 それでもいきなり射し込んできた朝日の光に、私は顔をしかめた。 「ん……香奈…?」 やめてよ、目が痛いじゃない! ぶつぶつ言いながら寝返りをころんと打った。 もっともっと眠っていたかった。 けれど、 「…いい加減起きろ」 呆れたような声に、ぱちっと目が開いた。