唇が重なり、頭のてっぺんまで痺れが走る。
抜けていく体の力をどうにか保ちながら、とっさに唇を離した。
「那智……あたし」
「ん?」
「那智のこと好きすぎて、おかしくなりそう」
あたしの言葉を聞いた那智は、芸術品のような美しい笑みを浮かべて。
「なれよ」
そうつぶやき、再び唇を重ねた。
……本当に?
じゃあ那智も、一緒におかしくなってくれる?
あたしはそれでもいいよ。
ふたり一緒に、おかしくなっちゃいたいよ。
親のこととか、周りのこととか
そんなの気にならないくらいおかしくなって
ふたりだけの世界で生きていきたいよ。