言われたとおり、あたしはベッドに腰を下ろす。
鼓動が少しずつ速くなっていく。
那智は机の上から鉛筆を取ると、ベッドに向かい合うよう置いたキャンバスの前に座った。
……緊張する。
モデルってどうすればいいんだろう。
慣れない状況に困惑し、目を泳がせていると。
「顔、こっち」
那智に指示され、彼の方を見た。
そして、ドクン、と全身が脈を打った。
那智の、あの瞳。
今、まっすぐに
あたしだけを映している――
「そのまま、こっち見てろよ」
那智はあたしとキャンバスを交互に見ながら、鉛筆を持った左手を動かし始めた。