「お前……ホンマおもろいな」



……ムカつく。なんて性悪なクソガキなんだろう。



だけど

こんな那智の言動に、いちいち振り回されるバカな自分が


実は、嫌いじゃなかったりもするんだ。



「藍」



クスクス笑いながら名前を呼ばれ、つっけんどんに「何?」と答えた。



「お前も、俺に描いてほしかったんやろ?」


「……え…?」



「今日の夜。俺の部屋に来いよ」












おばさんが寝室に消えたのは、夜の11時過ぎだった。

寝静まったことを確認し、あたしはそっと廊下に出た。


コンコン、とごく小さな音で、那智の部屋をノックする。


返事の代わりに、ドアノブが内側から動いた。