「……じゃあ、那智は……ずっと、あたしのそばにいてくれる?」
「あぁ」
「本当に? これからも?」
たとえ、姉弟になっても?
「しつこい。何回も言わすなや」
うざったそうに眉をよせて、那智がイスから立ち上がった。
あたしの上に落ちる影。
那智の手が、こちらへと伸びてくる。
「俺はお前と姉弟になるつもりはないって、前にも言うたやろ」
「でもっ。お父さんが出張から帰ってきたら――」
「お前、親の言うことにおとなしく従うんか?」
「え?」
「まわりなんか関係ないねん。
……お前は」
那智の手のひらが、あたしの頭の後ろにそえられた。
「俺にだけ、懐いとけばえぇから」