「桃崎さん、大丈夫!?」
「うん……」
……かっこわる。
転んじゃった。
最近転びすぎだな、あたし。
起き上がろうとした瞬間、目まいに襲われて再び地面に手をついた。
「桃崎さん?」
あれ。声が遠い……。
ぐわんぐわん。視界が回る。
「桃崎! 保健室行くか?」
先生の声が近づいてきて、肩に手がそえられたのが分かった。
意識がぼんやりする……。
支えてもらいながら、少しずつ足を踏ん張って立ち上がろうとした、そのときだった。
「勝手に触んなや」
……デジャブ?
あたし、このセリフ
以前にも聞いたことあるよ?
……って。
ちょっと待って。
「な、那智!?」
驚いて顔を上げたあたしの目に、一階の教室が映った。
そこには、窓から体を乗り出した那智の姿。