「体育、だるいな……休みたい」
「ダメだよー。今日はグラウンドでハードル走だよぉ? 全校の男子が、桃崎さんの走る姿を楽しみにしてるのにー」
……何だ、そりゃ。
結局、渋々あたしは体育を受けることにしたのだけど
遅刻気味にグラウンドに出た時点で、後悔することになった。
那智のクラスの教室は、1階。
しかもこの時間は、気が弱い先生の授業中らしく。
那智たちのグループは授業そっちのけで、窓際にたまって談笑している。
「あ、弟くんだぁ」
亜美の声を無視して、あたしはハードルを並べる手伝いを始めた。
「おっ。那智の姉ちゃんだ。
ジャージでもキレイだよな~」
教室の方からも声が聞こえてくる。