憎まれ口を叩きつつも、あたしは素直に感動していて。


スケッチブックを持ったまま、夢中で見入っていると、



「なんでやろなぁ」



那智はあたしの髪をもてあそぶように、くるりと指先に巻きつけた。



「お前見てると、無性に描きたくなるねん」


「……」



神経が通っていないはずの髪の毛でさえ

那智が触れた場所は熱くなる。



あたしはスケッチブックから目をそらし、ゆっくり彼を見上げた。



あ……また、この瞳。


見つめられたら世界が止まる。


身体の奥までしびれるような感覚に、抗えなくなる。


もっと。

もっと、って……。